奥野久美子「芥川龍之介「将軍」考―桃川若燕の講談本『乃木将軍陣中珍談』との比較―」
『国語国文』二〇〇三年三月掲載。 芥川龍之介の作品には元ネタがあるものが多いのですが、「将軍」も例外ではなく、桃川若燕の講談本『乃木将軍陣中珍談』がそれであったという、必読の先行論文です。 筑摩書房版全集の注釈では未詳となっていた「パン聯隊」という言葉もここに出典がありました。 『乃木将軍陣中珍談』をデジタルコレクションで再確認したところ、白襷隊同士の会話で、 ※...
View Article石原千秋・小森陽一『漱石激読』(河出書房新社 二〇一七)
圧倒的な情報量と熱意で語られる、漱石代表作についての対談。 なのですが、読む私の方に漱石への関心が減退してしまったせいか、著者のお二方ほどには「激読」する気になりませんでした。これはお二方の責任ではまったくなく、私が歳をとったということでしょう。もっと若い頃に出逢いたかった一冊です。 むしろ興味深かったのは、石原氏が参考資料として提供する、双六コレクションの数々。...
View Article塩野七生『ギリシア人の物語Ⅲ 新しき力』(新潮社 二〇一七)
当ブログがかつて集中的に追ってきた無神論者で独裁者のクリティアスや、矢野龍渓『経国美談』で日本に知られたテーベの覇者エパミノンダス。そのあたりがどう書かれているかと読んでみたのですが、二人ともわりと簡単に片づけられてました。リーダーシップのある男を追求し続ける塩野氏にしてみれば、この二人など前座にすぎないということでしょう。表紙をでかでかと飾る、リーダーシップの権化に比べれば。...
View Article戦争と警察活動の間
「将軍」の「三 陣中の芝居」を読んでいて、「軍隊と警察の違い」といった問題が気になり、あれこれ探していたら以下の文献が見つかりました。「戦争と警察活動の違い」なので、少しずれますが。 ※...
View Article大正の平和主義文学(仮)
たまには前向きな話を。 博士論文『明治の平和主義小説』に続く第二弾として、『大正の平和主義文学』という論文集を完成させたい、という野望を私は抱いています。媒体は後で考えるとして。 平和主義に明治も大正もあるものか、と思われるかもしれません。確かに天皇が誰かはあまり関係がないのですが、日○戦争の時代と世界大戦の時代とでは、おのずと平和主義のあり方も違ってくるものです。...
View Article尾西康充「政治小説の可能性 矢野龍溪「浮城物語」」 (予告)
矢野龍渓でCiNii検索したら、また未読の面白そうな論文が見つかりました。 ※ 政治小説の可能性 : 矢野龍溪「浮城物語」 (特集 明治百五十年) 尾西 康充 民主文学 (627), 104-109, 2017-12 ※...
View Article王穎「福地源一郎の東邦論: 『東京日日新聞』の社説における露土戦争」
明治時代にも日本の戦争に反対する人々がいたことは、当ブログおよび論文で再三述べてきました。 では、日本以外の国同士の戦争、たとえばロシアとトルコの戦争に反対した例はあったのか。その数少ない例を取り上げたのが、王穎氏の論文「福地源一郎の東邦論: 『東京日日新聞』の社説における露土戦争」(アジア地域文化研究 (13), 1-24, 2016)です。...
View Article王穎「江華島事件からみる福地源一郎の朝鮮論 : 『東京日日新聞』の社説を中心に 」
前回に引き続き、王穎氏のご論文を紹介します。「江華島事件からみる福地源一郎の朝鮮論 : 『東京日日新聞』の社説を中心に 」(アジア地域文化研究 (12), 1-26, 2015 )。 1875(明治8)年に起きた日朝間の紛争、江華島事件。...
View Article軍隊と警察でCiNii検索
以下の五件が見つかりました。 ※ 平和活動における軍隊と警察の役割分担--ボスニアの事例から (特集 国内治安対策の国際比較) 藤重 博美 海外事情 56(7・8), 60-76, 2008-07 2 自衛隊とは何なのか--「軍隊」と「警察」の本質的差異 (〔防衛大学校防衛学研究会第31回〕戦略環境研究分科会 テーマ:現代の戦略環境と自衛隊の役割) 色摩 力夫 防衛学研究 (34),...
View ArticleSDと安心供与
SDとは「安全保障のジレンマ」の略語。 安心供与とは、安全保障のジレンマ状態にある相手に安心を与えること。 どちらも、安全保障のジレンマについて論文を書く前に知っておくべき語でした。
View Article小林正弥『非戦の哲学』(ちくま新書 二〇〇三)より「平和術」
「平和術」という造語は私も博士論文で使ったことがありましたが、そのずっと前に小林氏が論じていました。このたび『非戦の哲学』を読み返して気づいた次第です。 ※ (新平和運動では) かつてのような声明・抗議だけではなく、音楽・瞑想・踊り・演劇などの手法も有意義であろう。いわば「平和芸術・技術=平和術(アート・オブ・ピース)」や「和楽術」・「平和道」などの彫琢や開花が望まれる。...
View Article小林正弥『非戦の哲学』(ちくま新書 二〇〇三)より マルクス主義批判
マルクス主義の失敗以降、「大きな物語」を語ること自体を危険視するようになった、リオタールらのポスト・モダン思想に反論して。 ※ ……マルクス主義が失敗したのはその基本的理論の多くが誤っていたからなのであって、「大きな物語」一般が誤りだからではない。...
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