『文学』「《特集》 浅草と文学」(岩波書店 2013年7、8月号)
もう半年も前の特集号ですが、見ようと思っていながらつい機会を逃していました。 近場の図書館には置いてないもので。今週の雪は大丈夫でしょうか。
View Article『ワンダと巨像』(PS2)
「最も確実なのは、前進する巨人をしっかり見失わないことです」と、ヘーゲルの書簡にもありました。 そんな感じで、草原のあちこちに潜む16体の巨像を探し出して破壊する、ボス戦に特化したアクションゲームです。...
View Article村井弦斎「石油師」(『文車』(1906)収録)
1906(明治39)年刊行の短編集『文車』の巻頭に収録されたSF短編です。初出は今のところ不明。 親から譲られた三四十万円の財産を油田探しで使い果たし、山師呼ばわりされるほど落ちぶれた男、堀井沸蔵(ほりゐわきぞう)。その数少ない理解者であるお艶嬢は、沸蔵の顕微鏡を五百円で買い取ります(例によって、彼女も科学マニアなのです)。...
View Article村井弦斎『日の出島』「東雲の巻」 その1 華氏八十八度
冒頭の「寒暖計」の章より。明治時代は華氏で温度を表記していたようですが、例外もありまして。 ※ 石橋「左様、三十一度六七分位かネ」 貢生「それは摂氏ですな、何(ど)うも我々素人には摂氏の度が耳馴れません、華氏で九十度とか百度とか云ふと何程の暑さだと想像し得ますけれども摂氏で云はれると頓と分りません其癖学術上でも気象台の報告でも近頃は摂氏計りですな」...
View Article村井弦斎『日の出島』「東雲の巻」 その2 超特急
関東発明会の総力を結集し、ついに馨少年の発案した細菌撲殺剤が完成します。 さっそく駿河国静が浦(沼津あたり?)で静養中のお富嬢に届けることになります。 お富嬢のほうも無聊をかこっていたようで、つい交通機関への不満を語ります。 ※...
View Article「父さんインタイ宣言」
カツオに怒鳴るのに疲れた波平さんが、ついに引退宣言。マスオさんに叱り役を交替してもらいます。しかし、カツオがテスト用紙を紙飛行機にしていたと知った波平さんは、ついに怒りを爆発…。 メタ的な意味でも「バカモーン!」に注目が集まるこの回ですが、違和感はありませんでした。今後のバカモンスタンダードが固まったようです。
View Article村井弦斎『日の出島』「東雲の巻」 その3 「低温度」
村井弦斎の科学知識もけっこう怪しいのですが、私の方もそれに劣らずでして。 以下の記述は、あくまでも明治30年代のSFということでご理解ください。つっこみをいれるだけの能力は私にはありません。 これまでの工業技術は高温で蒸気や電気を起こしてきたが、それと反対の発明を心掛けている人がいる、という話です。 ※...
View Article五味文彦・本郷和人編『現代語訳 吾妻鏡 8 承久の乱』(吉川弘文館 2010)
土御門院は当時の史料でいかに語られていたか。唐突にむしょうに気になりまして、該当箇所を読んでみました。『吾妻鏡』承久3年(1221)10-閏10月小。 ※...
View Article歌より小説。
土御門院だろうと村井弦斎だろうと、戦争に反対していたというだけの理由で持ち上げる気はありません。 より重要なのは、戦争を阻止する方法を、彼らがどこまで具体化・言語化できていたか、です。 土御門院はともかく、弦斎についてはそろそろまとめを書けそうな感じです。別に和歌より小説の方が上だというわけではなく、「新古今集形成期における象徴的表現」なんてものにはまったくの門外漢なので。弦斎のベタっぷりに感謝。
View Article「最新流行の無線電話帽」(『婦人世界』1923(大正12)年7月号より)
マイクロリールというのは飛ばし読みのできないメディアでして、村井弦斎の記事だけ読むつもりで早回ししていても、「森永ミルクチョコレート」だの「星製薬」だのがサブリミナルのごとく目に飛び込んでくるわけです。で、つい手を止めてコピーしてしまったのがこの「科学画報」記事です。 ※ 【2】最新流行の無線電話帽...
View Article「無線電送写真の完成」(『婦人世界』1923(大正12)年7月号より)
前回に引き続き、「婦人世界』の科学画報欄より。 ※ 米人フランシス、ジエンキンス氏は、最近に無線電送写真を完成して、ワシントン海軍局から、フイラデルフイアまで、(略)普通の写真から反射する光線衝動を電気衝動に、それをまた無線衝動にかへて、とつたものだと云ふことです。 ※...
View Article『新編日本古典文学全集41 将門記 陸奥話記 保元物語 平治物語』(小学館 2002)
『承久記』を読み直すための下準備として、軍記物四番勝負に挑んでみました。 『将門記』は各方面で有名な平将門の反乱記録。最初から独立をもくろんでいたわけではなく、一族(特にいとこの貞盛。清盛の先祖)との内輪もめを重ねているうちに勢力が肥大化してしまい、後にひけなくなったという感じです。興世王を受け入れたあたりが分岐点。...
View Article囲碁対将棋
盤は将棋盤で、基本ルールは将棋のまま。囲碁側は白石を将棋駒の様に並べます(玉のみそのまま)。囲碁側は空いているマス(目ではなく)のどこにでも無制限に打てる代わり、敵駒の周囲を囲まないと取れません。取った駒や石は、それぞれのルール通りに打てます。勝利条件は地の広さではなく、玉を先に取ること。 ニコ動で見た限りではそんなルールでした。どうも囲碁側を持ちたくなります。
View Article便利で衛生的な林田式洗米器
なんか『課長バカ一代』の新商品みたいですが、大正期『婦人世界』の広告です。 「この洗米器は、写真にある通り円筒形のもので、把手(はんどる)の下には風車の翼(はね)のやうなものがついてゐますから、把手を廻すと自然にそれが廻つて、米が磨げるやうになつております」。 お値段は二円八十銭以上いろいろ。円本買って円タク乗っておつりがきます。手で磨いだ方が早いのに。それは言わない。...
View Article山崎安雄『日本雑誌物語』(アジア出版社 1959)より『婦人世界』
第一次大戦期の『婦人世界』についての記述。 ※ 「婦人世界」は同社(引用者注 実業之日本社)の至宝で、全盛期(大正十一、二年頃)には発行部数三十万を算したいいう。何しろ部数は、売れたといっても七、八千部から一万部前後も出ればいい方で、大概の雑誌がせいぜい二、三千部止まりだったのだから、「婦人世界」の躍進は異例のことだった。 (略)...
View Article村井弦斎『子宝』完読
残念ながら反戦要素はありませんでした。主人公もきっちり二年間の徴兵期間をつとめてます。 ただ、『釣道楽』や「里親」とのテーマ上の連続を考えると、あるいは…
View Article北村実「「正戦論」と平和主義―「正しい戦争」はあるのか」(『日本の科学者』2008年8月)
アウグスチヌスからウォルツァーに至る、「正戦論」の是非をめぐる議論の系譜を歴史的にたどった論文です。 スコラ哲学というと、「正しい戦争とは不正な者への報復である」というトマス・アクィナスが有名なのですが、それに反対していたスコラ哲学者もいる、というのは意外でした。 ※...
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