『日の出島』「新高の巻」再読計画
以前、村井弦斎の大長編『日の出島』を完読する企画を立てたのですが、「新高の巻」だけは適当に読み飛ばしてしまいました。 新たに植民地となった台湾を、ヒロインの雲岳女史ら一行が探検する話で、その差別的な描写や帝国主義的な雰囲気に耐えられなかったので、ついさぼってしまったわけです。...
View Article生きた反戦小説として読む
これまでの私は、どうも「将軍」を他人事として読んでいた気がしてきました。 白襷隊(決死隊)の兵卒や、処刑される捕虜の立場に感情移入してみると、また違った風景が見えてくるものです。研究者としては原始的に過ぎるかもしれませんが。 少なくとも、「七生報国」だの「靖国の英霊」だのといった嘘に対抗する心構えだけは、平時にも必要と思います。
View Article逆回転。
どうも扇風機が涼しくないと思ったら、羽根を裏表逆にとりつけていたことに気づきました。とんまな話です。 組み立直して裏返したらちゃんと涼しくなったわけですが、応用できないものでしょうか。 書き足すたびに暑苦しくなるわが論文も、なんか裏返せば涼しくなるのでは。 「安全地帯からの生ぬるい抵抗」を、「平時からの持続的な抵抗」に。いけるかも。
View Articleウヨクでもサヨクでもなく
前にも近いことを書きましたが、右か左かではなく、正直か嘘つきかが人間の価値を決めると私は考えています。 ただ、左右を問わず、「極」や「原理主義」に走るほど、正直な人は少なくなるようです。 国家主義やマルクス主義といった思想は、そもそも正直さと両立しがたいのではないでしょうか。 それやこれやで、ムフには申し訳ないのですが、「左派ポピュリズム」には私は同意できません。
View Article従軍慰安婦を買う小林秀雄
『出版警察報』一七二号七八ページより。小林秀雄「蘇州」(『文藝春秋』一九三八年六月)の削除箇所についての言及。従って、今回も小林秀雄全集や単行本には載っていない箇所です。旧字体は新字体に改めました。 ※文藝春秋 第十六巻第九号 東京市同社発行 六月一日発行...
View Article小林秀雄「杭州」の捕虜殺害場面
毎度のことながら、戦後版では削除された箇所です。 火野葦平のトーチカを「四日間で強引に突破した」という談話と、「舟は三潭印月に向ふ」という記述の間。 「×××」等の伏字は、初出誌にあるとおりです。 ※...
View Articleその人生は嘘だらけ
最寄りの図書館で新潮社の第五次小林秀雄全集の「杭州」「杭州より南京」「蘇州」および別巻2、補巻1を参照しましたが、捕虜殺害の話や従軍慰安婦を買った話は跡形もありませんでした。予期していたことではありますが。
View Article戦時下こそ最高の時代と言う柳田国男
『文藝春秋』一九四三年(昭和一八)年九月、座談会「民間伝承について」。もはや敗色濃いこの時代を「こんな立派な世の中はない」という柳田の発言。 今回の引用は『柳田国男対談集』(筑摩書房 一九六四)によりますが、以前に閲覧したことのある初出との異同はない、はずです。 ※ 田...
View Article柳田国男の戦争責任のがれ
桑原武夫との対談「日本人の道徳意識」。『現代倫理』一九五八(昭和三三)年六月とのこと(初出未見)。 日本人の戦争責任についての、桑原の質問に対して。 ※ 柳田...
View Articleハイネを騙る柳田国男
林正子「柳田國男のハイネ受容による<民族>の発見 : <民族精神>の 高揚と<民俗学>隆盛の連環を考究するために」 [岐阜大学国語国文学] no.[36] p.[19]-[35] Issue Date 2010-02。 ハイネの『流刑の神々』を柳田が紹介した「幽冥談」についての論文。 ※ ただし、「幽冥談」 で紹介されている『流刑の神々』の内容は、...
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