長山靖生『日本SF精神史』(河出書房新社 2009)
幕末の儒学者、巌垣月洲が書いた架空戦記『西征快心篇』(1857)に始まり、小松左京『日本沈没』(1973)に至る、空想科学小説の系譜を追った労作です。...
View Article長山靖生『日本SF精神史』(河出書房新社 2009) その2 『西征快心編』
このタイミングでというか、だからこそというか。 長山靖生『日本SF精神史』の巻頭に出てくる、日本最初のSF『西征快心編』(巌垣月洲著 1857(安政4年))が気になって仕方がありません。...
View Article堺利彦「天津通信」(『堺利彦全集 第一巻』法律文化社 1971 40~62ページ より)
村井弦斎の『日の出島 曙の巻』連載と同時期に、『萬朝報』記者の堺利彦は従軍記事を連載していました。北清事変(義和団事件)についての資料として、要約して書き写しておきます。 その一(1900(明治33)年7月18日掲載) 1900(明治33)年7月4日 堺、水雷艇陽炎(かげろう)にて太沽(タークー)に上陸。 同5日 歩・工・砲・騎兵各一個中隊に従って天津に進む。...
View Article堺利彦「盛んに豚を食らうべし」(『萬朝報』 1902(明治35)年2月20日
日本人が白人や中国人よりも虚弱なのは肉を食べないからだ。 「菜食は決して強国を作るゆえんにあらず」 「日本人は盛んに豚を食らうてその筋骨を養うべきなり」 (『堺利彦全集 第一巻』法律文化社 1971 162~163ページより要約)...
View Article「目下爆睡中のブタを簡単に起こす方法」
YAHOO映像トピックスより。鼻の穴の動きが立体的です。 http://videotopics.yahoo.co.jp/videolist/official/animal_pet/p4a255c8e58dc1f5bf38b7639a137bbc4
View Article世界情勢を読む会編『改訂新版 面白いほどよくわかる 世界地図の読み方』(日本文芸社 2007)
ナウルやバヌアツに特化した本が見つからなかったので、一般書から読んでみることにしました。 まずバヌアツ。親英派と親仏派の対立の結果、独立(1980年)直前に、「親仏派が分離独立を宣言し、政府はパプアニューギニア軍の支援で鎮圧する一幕があった」(229ページ)とのこと。...
View Article星一『三十年後』における内乱と非暴力的鎮圧策
SF作家星新一の父上の著とされる、1918(大正7)年刊行の未来小説『三十年後』。実は全巻通読はしていないのですが、さわりの部分だけ紹介します。 「世界の平和以来、武器の必要を認めないので、各国共に兵器は潰して了ひました」という時代。医薬の進歩で寿命が延びたものの、長すぎる人生に飽きた者たちが日光の山中にこもって内乱を起こす事件が発生します。...
View Article星一『三十年後』 さし絵
星新一の文庫の解説でその存在を知って以来気になっていたさし絵。ようやく見つかりました。 九十一歳の嶋浦翁が、十七歳の花江嬢の操縦する自家用飛行機で、富士山上空を「散飛」する場面です。 文章は江見水蔭の手を煩わせた…と、序文にはありましたが、このはじけたセンスは水蔭にはないんじゃないかと思います。...
View Article山本真鳥編『新版 世界各国史 27 オセアニア史』(山川出版社 2000) その1
ストロマトライトもですけど、この地域については本当に知らないことが多いことに気づかされました。...
View Article記憶力が落ちてきた…
らちもない愚痴ですみません。 昔はカタカナの地名人名を覚えるのが大好きで、おかげで世界史の点数だけは良かったものですが、最近はそれもだいぶ怪しくなってきました。 実はキリル文字を覚えようと思い、一覧表を印刷して手元に置いているのですが、Дから先が頭に入りません…。
View Article憂き我を寂しがらせよ閑古鳥
俳句というジャンルは理解不能なのですが(国文学者のくせに)、私に理解できる唯一の俳句がこれです。本当に理解できているのかは定かではありませんが。 古本の山とか廃墟を生で見ると、妙にやる気が出てくる心理。
View Article豚戦争(1906年)
「ブタの平和利用」とかそのへんのキーワードであれこれ検索していたら、変なのが見つかりました。以下、ウィキペディアより。 ※ 豚戦争(ぶたせんそう、ドイツ語: Schweinekrieg / セルビア語: Царински...
View Articleブタ戦争 (サンフアン諸島)
こちらは1859年(日本では安政5~6年。安政の大獄の年)の、アメリカ合衆国とイギリス領北アメリカ(後のカナダ)との国境をめぐる紛争。ウィキペディアより引用。 ※ ブタを射殺したことがきっかけで発生したため「ブタ戦争」と呼ばれるようになったが、他に「ブタエピソード(Pig Episode)」とも呼ばれる。そのブタは、衝突により血が流れることのなかったこの戦争における唯一の犠牲者だった。...
View Article村井弦斎『日の出島』「朝日の巻」 その7 「嘘の研究」
嘘とは3ディメンジョンを有するものか、CGSの単位式で測定すべきものか。 女中のお細となった細烟女史を相手に、幸福先生の研究が始まります。 今回は改行を補って引用します。お細の発言にご注目ください。 ※ 是より後幸福先生は仲働きのお細を対手にして嘘の研究を始めたり...
View Article村井弦斎『日の出島』「朝日の巻」 その8 自然主義批判 から侵略主義批判へ
紹介に値する文章を探すうちに下巻に突入。『日の出島』もあと少しです。 幸福先生の、というより村井弦斎の持論、不自然主義が炸裂します。 ※...
View Article村井弦斎『日の出島』「朝日の巻」 その9 おまわりさんこいつです
嘘の研究を続ける幸福先生の耳に、子供を叱る母親の声が入ります。 早く家に入らないとお灸を据えるとか、言うことを聞けばカステーラを遣るとか言った末に。 「言ふ事を聞かないとお巡査(まはり)さんに連れて行かれるよ、ソラ向ふから来た」 遅塚麗水の「電話機」にも同じような場面がありましたが、明治の子供にとっておまわりさんは大魔ももんがあよりも恐ろしい存在でした。...
View Article村井弦斎『日の出島』「朝日の巻」 その10 「覚悟の破船」
悪人でさえ、「覚悟」がなければ成功できないというあたりが弦斎らしいというか。 初期の「蓬莱の巻」の頃から登場していた、不良書生コンビの犬山と牛沼。 中盤からは犬山の妹の芸者琴次も加えて悪人トリオとなり、太陽燈反対運動の手先になったり、琴次に雲野博士を誘惑させたりと、さまざまに主人公らの行く手に立ちふさがってきたのですが、ついに二万円の大仕事に着手します。初任給が十円とかの時代。...
View Article村井弦斎『日の出島』「朝日の巻」 その11 「釣工合」
詐欺師犬山が語る釣り理論。 ※ 「魚を釣るのだつて中々呼吸が六(むづ)か敷(し)い、早く釣上げると魚が鈎(はり)にかヽらず、長く釣上げずに打捨てて置くと餌だけ只取られる、况(ま)して人間を釣るのは急ならず緩ならず程の好い釣方で無くつては不可(いか)ん」 (近代デジタルライブラリー『日の出島 朝日の巻 上下巻』 63/168) ※...
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