丸山穂高という衆議院議員が、北方領土を取り返すには戦争しかないと酒席で発言し、党から除名されるという事件がありました。まったく、国益を損なう暴言としかいいようがありません。
なんか、『論語』で似たような話を読んだような気がして確認してみたのですが、そんなに似てもいませんでした。
領土問題ではなく他国への内政干渉であり、完全にしらふでの公式発言です。余計たちが悪い?
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孔先生は、髪を洗い、入浴し、からだを清めてから、参内して哀公に申し上げられた。
「陳恒が主君を殺しました。どうかかれを討伐して下さい。」
『論語』憲問第十四 二十二
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結局、有力者たちの反対にあって、この戦争は実現しませんでした。
大義名分をただすため(と称する)戦争が当たり前だった春秋時代のことなので、この一件をもって孔子を悪人呼ばわりしたり、丸山議員と同列視するつもりはありません。
ただ、孔子は平和主義者とは呼べないこと(中国では孔子平和賞なんてものがあるそうですが)、むしろ正戦論者であることは確認しておく必要があります。「兵」や「伐」を「好ましくはないが必要なもの」と孔子がみなした箇所は、『論語』の他の部分にも見受けられます。