「イラク戦争反対、ブッシュよ恥を知れ、ということは小学生でも言えるし、簡単に書けてしまう(略)戦争が起きてから戦争反対と言っても何も始まらないし、それでは遅いのである」(一〇六ページ)。
中村氏はそうした声高だが浅薄な反戦詩を批判し、クロアナバチの穴掘りやヤモリや天道虫の生活を詠んだ静謐な抒情詩を高く評価しています。
挙げられている井奥行彦氏の詩「私の庭」も完全に時勢と無縁というわけではなく、
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それからハチは 青いバッタの子を
空輸して来て
穴に閉じ込める
(一〇八ページ)
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の節、特に「空輸」の一語には、九一一やら空襲やらを連想させてしまうのですが、気のせいかもしれません。