やっぱり、弦斎は新聞で読まないと、面白さが伝わらないようです。義和団事件と物語の同時進行もそうなのですが、以下のようなハプニングも。
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弦斎曰く原稿十回郵送の途に行衛を失ふ、雲岳女史を支那より呼返して逓信大臣に談判せしめんと存す、再度の執筆は節季の重荷、数日読者に背きしは咎の帰する所を知らず、
(近代デジタルライブラリー『日の出島 曙の巻 上下巻』 163/197)
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…実際に郵便事故で原稿がなくなってしまい、連載休止になった時期があったそうです。弦斎人気に支えられていた『報知新聞』としてはシャレにならない事態だったことでしょうが、それすらもギャグに変えてしまうのが村井弦斎です。
なお、この連載の時期には女子軍を率いて清国に出征していた雲岳女史ですが、彼女が逓信大臣の星亨と談判する機会はついに訪れませんでした。おそらく近いうちにその話になるはずです。