シンプルに「反戦文学論」としたいところですが、黒島伝治がすでに使っていまして。しかもその内容は帝国主義国に対する戦争には賛成するという代物で、看板に偽りありです。
私が目指しているのは、戦争を阻止できるパワーを持った反戦文学を生み出すことなのですが(私自身には書けなくても、私の論をもとにそれが生まれれば上出来です)、そのためには過去の失敗(あえてそう呼びます)から学ぶ必要があるわけです。
黒島伝治は反戦を社会主義革命のための道具としか考えていなかったわけですが、もっと古い時代の社会主義者(幸徳秋水・木下尚江らの平民新聞)もそうした考えと無縁ではなく、日露戦争のただ中に「共産党宣言」を翻訳して掲載するような暴挙を犯し、裁判ざたになっています。今後の反戦文学は、そうしたイデオロギーの宣伝とは縁を切りたいものです。ことにマルクス主義と平和主義ほど相容れないものはありません。